致命的 - 失い(TAPE)

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2023年に眞秋(vo)、隷(g)、實夢(syn)が組織したゴス / ポジティヴパンク・バンド“致命的「失い」”。同年12月30日に執り行われたその1stギグ(@東京・幡ヶ谷 Forestlimit「Sádi CO. IN TOKYO」)での実況録音を基に、新規素材を加えて記憶とも記録ともつかぬ作品として練り上げられた全3曲を収めるデビュー音源。

致命的「失い」の内情は、あの、COMPUMA、長谷川白紙、柴田聡子、テンテンコ、千紗子と純太らのヴィジュアルを手掛け、スイスのインディペンデント・パブリッシャー「innen」より作品集を刊行しているイラストレーター・沖 真秀(眞秋)、かつてTHROBBING GRISTLEのアーリー・インダストリアル・ミュージックを継承したCARREの一員として活躍し、現在はSHE TALKS SILENCEのシンセサイザー奏者としてのみならずソロでのライヴ・エレクトロニクス・プロジェクトQUEER NATIONSでも幅広く活動するMATERIAL(隷)、MALARIA!インスパイアのダークウェイヴ・バンドGOTOUのメンバーとしても知られ、近年はゴアトランスにフォーカスしたレーベル「CYBER ACID RAVE PEOPLE」のコファウンダーとしても注目を浴びるotaco(實夢)の3名。各々が持ち寄ったのであろう主観でのゴス / デスロック、ポジティヴパンク、そしてV系に対するイメージの集合体がこのバンドの核となっている。

沖の歌唱は、V系やホラーパンク、日本のアーリー・パンク / ハードコアに造詣の深い人物ならではのシアトリカルでヴァイオレントなムードが伴うものだ。MATERIALはQUEER NATIONSでの要塞の如きライヴ・エレクトロニクスを封印し、Daniel Ash影響下のギタリストとしてソリッドかつフリーキーなプレイに徹している。EBMとトランスの歴史的な関係性を想起させるotacoのビートワークは、さながら現代版Caroline Kといった様相でもある。しかしながら意匠を記号的に踏襲したリヴァイヴァルとは全く異なる、未知の音楽を成立させている点に、このバンドの驚異が集約されていると言えるだろう。新時代のオールドスクール・ゴシック、ここに極まれり。

FFO: ALIEN SEX FIEND / ART MARJU DUCHAIN / 地獄絵 / early 黒夢 / MERRY-GO-ROUND / SCHAFT / SEX GANG CHILDREN / early SPK / VIRGIN PRUNES etc.

久保田千史 (clinamina / AVE | CORNER PRINTING)


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