今はなき、NHK電子音楽スタジオの膨大な音源集を、創作にあたり作曲家以上にエンジニアの技術のウェートが大きかった初期日本電子音楽の歴史を振り返った驚愕のシリーズ「音の始源を求めて」の第4弾 佐藤茂の仕事をまとめた人気の1枚の再販盤。個人的には本作がお気に入りで、一柳慧による強烈なラジオ・コンクレート大作「東京1969」を収録!!
以下、レーベルインフォより
1.三保敬太郎「デヴェルティメント」(1964)
打楽器の生演奏と電子的に制作した打楽器音のライブ演奏作品。これまでは、多くのテープ音を何度も積み重ねた「オフライン演奏」が主体であったが、この曲では数台のテープレコーダーにオペレーターがつきテープを演奏する「オンライン演奏」を行い作品の多様化が始まった。
2.一柳 慧「東京1969」(1969)
当時テレビ、ラジオで流れていた音を素材音とし、自然界の不確定現象を電子音で音楽の中への取り込むのが作曲思考の作品。電子音楽スタジオのほとんどの機器を不規則に接続し、学生たちが各機器を不規則にオペレーションし録音された。 チャンスオペレーションによる斬新な環境音楽。
3.三善 晃「トランジット '69 」(1969)
テープ編集とミックスダウンが大切な役割をもつ。打楽器の生演奏にリング変調器を使って音色を変えながら、収録した音と電子的に作った打楽器音を合成して制作した。約九百音ものテープ素材音の中から有用な素材音を聴き出す煩雑さは作曲者を悩ませた。
4.柴田南雄「閏月樟歌」(1972)
胡弓(二胡)と太棹で構成されたたライブ演奏と、プリレコーディングした胡弓、太棹の音を電子的に変調した音の同時ライブ演奏を想定した曲である。変調音が生演奏を強調できるように構成された。
5.マイケルランタ「化学変化」(1972)
作者のパーカッションをNHK電子音楽スタジオ・オリジナル機材を駆使して製作された。また"IMPROVISATION SEP. 1975"にも通じる東洋的雰囲気を持っている。
6.武田明倫(1974)
「パノラミックソノール」NHKで初めてのコンピュータミュージック。素材音をコンピュータ FACOM270/30で制作したが、リズム制作、エコー付加、合成ミキシングは電子音楽スタジオで行なった。 当時コンピュータは現在のPCの百万分の1以下の性能だった。
こちらから試聴できます。
https://soundcloud.com/oto-no-hajimari/sets/4-shigeru-sato-work