『Piano Trilogy』 Tomoyoshi Date
12K(米)やLAAPS(仏)などの気鋭レーベルからリリースが続いている医師・音楽家のTomoyoshi Dateが、2021年から2024年にかけて作成したピアノ三部作が限定150本のカセットでリリースされます。LAAPSより発売され、2023年1月Bandcampのベスト・アンビエントに選出され廃盤となった『438Hz, As it is, As you are』、東京・高円寺Tataにて行われたSilver gelatin(古書・キュレーション)の展示用につくられた『Tata』、親友たちへの追悼としてつくられた『Requiem』の三作が、Silver gelatinによるファウンドフォトを用いた特製ジャケットで、11月10日に、つゆくさレコーズより同時リリースされます。
モノと時間の経過をテーマに作成されたこの三部作は、引き伸ばされて反復するピアノと有機的なエレクトロニクスのマリアージュを特徴とし、リズムと旋律という境界の解体を試みた音楽です。
近年、Dateは世界初となる純正律の音楽を自動生成するプログラムの制作(https://www.youtube.com/watch?v=O1BNEjMtL1o)を手がけており、ソロとしては最後になるかもしれない平均律によるリリースです。
「死」はすべての人に訪れる事象であり、今生きている私たちにも必ずその時は訪れます。どんな人にも訪れる「死」とは、疎まれるべき現象なのか。悲しみや憐れみは、その対象と他者との比較によって生まれます。
この地球上では、あらゆる生命の波が渦巻き、常に循環しています。一人の人間の人生は、その人が体験し、感じた唯一無二の世界でしかあり得ません。良い人生、悪い人生というのは、自分や他者との比較によって生まれるものでしかありません。「死」とはひとつの「流れ」であり、生命の奇跡に対して、出会えたことの喜びを讃えあう瞬間だと私は考えています。この追悼歌は、決してネガティブなものではなく、旅立った人々へのポジティブな気の方向によって生まれました。苦悩の根源である比較から解放されて旅立った人々への祝福の追悼歌です。
医師として年間1万人以上の人々と生と死と病について語り合い続けてきたTomoyoshi Dateは、死別の悲しみも、正しくありたいという願望から生まれる怒りの一つだと考えています。一人の人間が体験できる人生は、その人の人生ひとつしかありません。どんな人の死も、誰かと比較をしたり否定したりする必要はなく、ひとつの貴重な人生であったと死を慈しんで医療に携わっています。親友の葬儀に流されたこの音楽は、親友の人生への祝福の思いで作成された晴れやかな音楽になっています。