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Release Date
2025年11月12日(水)
Format
LP
Label
conatala / År & Dag
デンマークのミニマル・アンサンブル、Copenhagen Clarinet Choirと作曲家Anders Lauge Meldgaard のコラボレーション・アルバム《Jeux d’eau》をリリース
《Jeux d’eau(ジュ・ドー)》は、実験的アンサンブル Copenhagen Clarinet Choir と、デンマークの作曲家・演奏家 Anders Lauge Meldgaard による探究的なコラボレーションから生まれた作品です。中心となるのは Meldgaard による作曲と、日本発の電子楽器 New Ondomo の演奏。この楽器は1920年代後半にフランスで生まれた最も古い電子楽器のひとつ オンド・マルトノ に着想を得て開発されたもので、Copenhagen Clarinet Choir の鮮やかなエネルギーと冒険心が、Meldgaard の音楽的ヴィジョンに生命を吹き込んでいます。
プロジェクトの着想源となったのは、イタリア・ティヴォリにある Villa d’Este の庭園を Meldgaard が訪れたことに始まります。この場所はかつて Franz Liszt や Maurice Ravel にインスピレーションを与え、彼らは同名のピアノ曲《Jeux d’eau(水の戯れ)》を作曲しました。本作もその系譜を受け継ぎながら、新たな音の旅へと聴く者を誘います。従来の作曲家たちが厳格な構造に重きを置いていたのに対し、Meldgaard はより開かれた形式を採用し、演奏者が即興的に関与できる余地を残しています。
こうした柔軟性が、ミニマル・ミュージック特有の反復の性質に、よりしなやかで心地よい響きを与えています。
コペンハーゲンの The Village で録音されたこのアルバムでは、クラリネット・クワイアの有機的な共鳴と、New Ondomo および電子音の予測不能なテクスチャが交錯する音響体験が展開されます。
《Jeux d’eau》は、構造と自由、前進と反復を絶妙に行き来する音楽です。Terry Riley や Steve Reich といったアメリカの古典的ミニマル・ミュージックに影響を受けながらも、単なる模倣にとどまらず、後期ロマン派的な抒情性を帯びたメロディと豊かなハーモニーにより、反復の厳格さがやわらげられています。加えて、Jo Kondo や Sueko Nagayo のような日本の作曲家に通じる繊細さと明快さも感じられます。作品全体は、躍動と静寂が交差する、遊び心と深みを兼ね備えた音世界を生み出しています。
この作品は、水への賛歌であると同時に、人間と自然の繊細なつながりに対する静かな問いかけでもあります。流れるような形とオープンな記譜法により、音楽は自然のダイナミクスを映し出す鏡のような存在となり、演奏者には即時の気づきと、協調、バランスへの配慮が求められます。水のように、音楽もまた変化し続けるものであり、私たちの環境が常に移ろいゆく存在であること、そしてそれを守る責任があることを、優しくも力強く伝えています。
アルバム・クレジット:
Carolyn Goodwin (IE) – Clarinet & Bass Clarinet
Francesco Bigoni (IT) – Clarinet
Jonas Engel (DE) – Clarinet
Anders Lauge Meldgaard – New Ondomo & Electronics
Mix & Master: August Wanngren
Water photos by Anders & Ingeborg
Anders Banke (DK) – Clarinet & Bass Clarinet
Maria Dybbroe (DK) – Clarinet & Bass Clarinet
Henriette Groth (DK) – Clarinet
Recorded by Thomas Vang at The Village
Ensemble photo by Roberto Bordiga
Artwork & Score by Anders Lauge Meldgaard
プロフィール:
Anders Lauge Meldgaard
作曲家・マルチインストゥルメンタリスト。偶然性の作曲法、即興、オープンエンドなスコアなど、幅広い音楽的表現を探求。自身も演奏者として作品に関わることが多く、彼の音楽はジャンルを超えた遊び心と実験性に満ちています。音響的素材の相互作用に重きを置き、アコースティックと電子音が交錯する作品を通じて、構造と直感が絶えず交渉し合う世界を描き出します。代表作には、The Art of Playing the Fantasia(2023 / Sun Ark)、Spirit(2025 / Halvcirkel との共演)などがあり、コペンハーゲンのレーベル兼コレクティブ År & Dag の創設メンバーでもあります。
Copenhagen Clarinet Choir
2020年に Carolyn Goodwin によって設立された新しい音楽アンサンブル。6本のクラリネットがまるで合唱のように有機的に融合し、温かく鼓動するようなサウンドを生み出します。アンサンブルは対等な関係性を重視し、個々の声がひとつの生きた音響体へと進化していきます。これまでに、スウェーデン・アンダーサボでの滞在制作から生まれた野外作品《Skogsklockor》、2022年の Organ Sound Art Festival のための《Compus Corpus》など、空間に応じた創作を展開。また、Marcela Lucatelli、Greta Eacott、Amina Hocine、そして Anders Lauge Meldgaard ら革新的な作曲家たちと協働し、2025年には東京のレコード・ショップ/レーベル Pianola Records/ Conatalaから新作を発表予定。 デビューアルバム《Organism》は2022年9月に År & Dag よりリリースされ、国際的に高い評価を得ました。The New York City Jazz Record の「2022年ベスト作品」でも言及されるなど、注目を集めています。
メンバー:
Anders Banke (DK)
Francesco Bigoni (IT)
Maria Dybbroe (DK)
Jonas Engel (DE)
Carolyn Goodwin (IE)
Henriette Groth (DK)