hofli(津田貴司)8年ぶりのソロアルバムにして初のギターアルバム。名義もhofli/TAKASHI TSUDAに統合し、ここ10年ほどのソロ演奏の集大成的な作品。
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制作ノート 2024
『木漏れ日の消息』をリリースして以来ユニットでの作品制作が中心になり、ソロではいくつかのコンピレーションで楽曲を発表したものの、アルバムとしてはおよそ八年のブランクが空いてしまった。こうして久しぶりにソロアルバムをリリースできることを嬉しく思う。ソロアルバムは、それなりの条件が整ってようやく観測できる星座のようなものかもしれない。
これまで、ぼくはソロ演奏をそのまま録音してアルバムに仕立てるということをしたことがなかった。hofli名義の作品はデスクトップ上でのコンポジションという側面が強かったし、津田貴司名義の『湿度計』もインスタレーションとして発表したものを楽曲として構成したものだった。ぼくのソロ演奏を即興(improvisation)と言っていいのかわからないが、ひとつひとつ音を辿りながら少しずつ紡いでいくことは、星々を結んで星座を見出すこと(composition-stella)に準えることもできるし、漠然とcompostela(星降る平原)のイメージもあった。そんなアルバムを作ってみようと思った。
あるとき、ソロライブに向けたリハーサルを録音した。ひとつづきになった演奏を聴きながら、場面ごとに解体してアイデアを組み立てた。これらをひとつひとつあらたに録音して、曲順を入れ替えたり、曲まるごと削除したり、納得のいかないものは録り直したりして、ブラッシュアップしていった。すこしだけ手を入れたほうが良さそうだと思ってエフェクトをかけたりしてみたが、なぜかうまくいかなかった。結果的に、各トラックはほとんどフェイドイン・フェイドアウトの調整をした程度だ。これらの音源は、どれもほぼ同じエフェクターのセッティングによって演奏された一種のパルティータで、各曲を結んで組み立てればソロ演奏に近い音像となる。そこで、このアルバムを星々の再構成(re-composition-stella)という意味の造語《recompostella》と呼ぶことにしたというわけだ。
手を動かすうちに曖昧模糊としていた作品の姿が定まってくる。ギターのライブ演奏とそれほど乖離のない録音物。演奏によって音楽を呼び込み、それをそのまま録音したものとしてのレコード。紆余曲折を経てもなお変わらない、もっともシンプルな剥き出しの音楽。その一方で、今日のこの録音は、ただ一つの完成形ではなく、この時この時の姿を記録したもので、これから演奏のたびに異なる姿に変わってゆくこともできる、原形質というか非晶質というか、そんなものだ。
だから、聴く人もまた、その人その人なりに音々を結んで星座を見出すことができるだろう。たとえば満開のマグノリア。枝を見上げる角度によって、さまざまな相貌が浮かび上がる。たとえば針金細工のモビールがゆっくりと回転して、その都度ことなる影を壁に投げかける。たとえばあの見慣れた星座も、他の星から眺めると異なる形に見えるはずだ。星々をあらためて眺めてみて、あらたに結びなおす(re-compo-stella)ように、聴くそのときそのときにあたらしく聴いて何か発見してもらえるなら、作者としてはこれにまさる喜びはない。